金・銀の内外相場の推移
下のグラフはわが国の金・銀価格の足取りを1973年から2010年まで年間の高低値の推移を示したものです。グラフは48年間の長期にわたるもので、税抜き価格で示してあります。それはこの間、消費税導入と税率引き上げが3度あったため、金の国内価格が国際相場と消費税分乖離するためです。消費税は1989年(平成元年)に3%で導入され、その後1997年(平成9年)に5%、2014年(平成26年)に8%、そして2度の延期を経て2019年(令和元年)10月から10%に引き上げられています。(※相場グラフは田中貴金属工業発表のデータから作成しました)
◆2000年を安値に大幅上昇、2020年の金相場はコロナショックで最高値更新
1971年8月のニクソンショックにより金とドルの交換が停止され、金の公定価格(1オンス=35米ドル)が廃止、金相場は市場で決定されるようになりました。また1ドル=360円という固定相場制の為替相場も変動相場制へと移行していくことになります。国内の金価格はドル建ての国際相場と円・ドル為替相場で決定されるようになりました。
グラフ左は我国で金の輸入が自由化された1973年(昭和48年)以降の国内金価格の足取りです。税別小売価格を年間高低価格で示しました。1980年にかけての大相場の反動で、その後は長期間にわたる下落局面を経験しました。2000年を底値に相場は上昇に転じ、円高傾向にもかかわらず右肩上がりの相場展開となりました。2010年以降は2000年の安値の1グラム1,000円程度から5倍程度の水準となり、金価格が5,000円時代に突入しました。2020年には年間の高値が7,063円、安値が5,214円、平均値が6,122円と1980年(高値6,495円、安値3,645円、平均値4,499円)を上回る史上最高値を更新しました。税込価格はグラフの10%高になります。
2020年は世界的なコロナショックが上伸の大きな要因です。8月にかけての上昇スピードが急激だったため、年末にかけては調整相場となりましたが、長期的な上昇トレンドは崩れていません。
海外相場は右のロンドン相場のグラフにあるように、2012年までの10年ほどで6倍以上に跳ね上がりました。この間、原油価格の高騰、中東・北アフリカやアジア地域での政情不安、米国発のリーマンショックやユーロ圏諸国の債務問題や株価の低迷など、≪安全資産としての金の財産性≫が見直された時代でもありました。金価格は海外相場に比べ国内の価格は上昇力が弱い傾向が続きました。これは対ドル円相場が円高傾向が進んだことによるものでした。
2013年からの海外金相場は2015年まで3年連続で下落しました。2012年までの上昇の調整が続いていましたが、2019年に一段高となり、2020年はコロナショックでさらに急伸、8月には初の2000ドル相場を示現しました。
◆不透明な世の中、安全資産として輝く“金”
金は4000年に及ぶ人類の歴史の中でその価値を維持しており、不安定要素の高い国債や株式、不動産などに比べると、長期的にはインフレに対抗できる安全資産としての信頼度が高まっています。銀やプラチナを含めた貴金属地金は実物資産として、その輝きを増しています。また、売買税、保有税、相続税などの税制にも強い資産としても注目されています。マイナンバー制の導入に伴い、記念金貨の財産性がさらに注目されてきました。
こうした資産性の高さ、類をみない換金力と国際性、皆さまの財産の一部に金や金貨を組み込まれることを勧めします。金や金貨の保有・売却のご相談・お手伝いをさせて頂きたいと考えております。お気軽にご相談下さい。
◆銀は1グラム20円時代から大きな上昇へ
一方、銀相場も1980年の高値には及びませんが、1990年代から2000年代初めの1グラム=20円時代から4倍以上に水準を切り上げてきました。金と同様に年平均ベースでのNY相場は、2011年までの10年ほどで実に7倍程度の大幅上昇を記録しました。
しかし、海外銀相場は2012年以降は下げ基調となり、2015年まで4年間続落しました。2020年は金相場の上昇に追随して高値で1グラム100円を超える場面もありました。国内金相場が健闘してるのに比べて銀の動向は上昇力が弱くなっているのが読み取れます。